「アット東京Cloud Lab」を使ったOCI FastConnectとATBeXの接続検証

2024.07.23

OracleCloud

初めまして、日本オラクル株式会社の福島と申します。今回はOracle Cloud Infrastructure(以下OCI)のFastConnectとアット東京さんの「ATBeX」というサービスを使って、「アット東京Cloud Lab」という一時利用が可能な検証環境で相互接続を行いました。

本記事では「アット東京Cloud Lab」にフォーカスしてお伝えしていきます。弊社からは私を含めて4人で参加し、実際の現場に行って感じたことや準備のポイントなどを詳しくお伝えします。この記事が「アット東京Cloud Lab」を利用される方々の参考になれば幸いです。

アット東京とは?

アット東京さんは、世界最高水準の高品質なデータセンター事業やデータセンター間をつなぐコネクティビティサービスを提供している会社です。

 図 1 CC1外観写真

図 1 CC1外観写真

アット東京さんは “ATBeX (アットベックス/AT TOKYO Business eXchange)”という相互接続プラットフォームのサービスを提供しており、 様々なクラウドサービスへと閉域接続できます。ATBeXとはOCIのFastConnectとも相互接続をしています。ここで、少しだけOCIのFastConnectを紹介させていただきます。

FastConnectはオンプレミスのネットワークとOCIのネットワークをつなぐための専用のプライベートな接続です。特徴としては、クラウドから出ていくデータ転送に対する課金がなく、ポート料金も安価であるということです。また、OCIの仮想ネットワークであるVCNや仮想ルータであるDRGについても無償で作成することができます。

実際に1GbpsのFastConnectを冗長構成で2本作って2日間検証で使用すると仮定して、どのくらいの料金になるかということを以下のサイトで計算すると料金は2,856円になります。(ポート料金29.75円/本・時間×2本 ×48時間 2024年6月時点)

https://www.oracle.com/jp/cloud/networking/fastconnect/pricing/

このようにOCIのFastConnectは非常に安価に作成することができるということや、他のネットワークリソースについても無償で作成できるということを今回覚えていただければと思います。

アット東京さんのもう一つの魅力は、クラウドと接続できる検証環境を短期間だけ利用できる「アット東京Cloud Lab」サービスを提供している点です。なんと、1日から利用が可能です。

新しいルータの検証やクラウド側の障害が起きた時にきちんと切り替わるのかどうかを検証したいが本番の回線を使うことができない・・・、実際に検証用に新たな回線を引くと敷設までのリードタイムや最低利用期間が決まっていてコストがかかってしまう・・・など、特にネットワークの接続や切り替わりの部分は業務に対する影響範囲が大きく、事前に検証をしたいけれどもその検証環境を簡単に用意したい、そんなニーズに対応したレンタルスペースサービスが「アット東京Cloud Lab」になります。

Cloud Labの構成イメージ 

図 2 Cloud Labの構成イメージ https://www.attokyo.co.jp/connectivity/cloudlab.html

今回「アット東京Cloud Lab」を実際に利用してみて、どのような準備が必要なのかと当日の流れを説明していきます。

検証準備の流れ

1. 申込書の提出

アット東京さんと打ち合わせを行い、実際に検証をしたい日の約2週間前にラボ使用のための申込書を書いて提出しました。申込書には、利用日数、接続先のパブリッククラウド、検証で使う回線の本数、インターネット回線やフレッツ回線の利用有無などを記載しました。また、レンタルルータやスイッチが必要な場合もこの段階で伝えます。

2. 設備の確認

アット東京 Cloud Labには、電源タップ、ホワイトボード、モニターのほかに、フリーWi-fi、ゴミ箱やリラックスゾーンなどの検証を快適に進められる環境が備えられています。また、施設の中には食堂や売店などの設備も整っているため、ストレスなく検証ができるのが嬉しいポイントです。

イノベーションスペース1

イノベーションスペース2

図 3イノベーションスペースの写真 とても綺麗な環境でした

3. 持参するもの

自分で用意するものとして、LANケーブル、コンソールケーブル、そして電源タップ(備え付けのものもありますが、人数や機器が多い場合は追加で持参することをお勧めします)を準備しました。アット東京さんから借りられるものや、借りられないものを確認することをお勧めします。

 レンタルルータ

図 4 レンタルルータや電源ケーブル、回線がすでに用意されていました

4. 当日の流れ

実際に「アット東京Cloud Lab」があるデータセンターに行き、入館手続きや館内の説明をしていただいた後に検証を開始できました。スムーズな手続きだったのですぐに検証を開始することができます。

また、入館手続きの合間に雑談としてアット東京が持つデータセンターの強みや周辺のご飯事情などの話をいただきとても有意義な時間となりました。ご対応くださった皆様ありがとうございました。

実際の検証

 実際の回線を使った配線やルータ設定をするのは初めての経験だったのですが、部屋のどこに回線がつながっているかを教えていただいたり、ルータのサンプルコンフィグなどを頂けたりしたおかげで、すぐにOCIのFastConnectに繋いで疎通確認が取れました。

すぐに疎通確認ができ、検証に取り掛かることができたため、2日間の短い期間で事前に準備していた検証項目を実施することができました。検証環境そのものを非常に簡単に用意できるということは「アット東京Cloud Lab」の一番の魅力ではないかと思います。

実際に検証した内容としては以下になります。

  • シングル構成
  • 冗長構成での切り替わり試験
  • IPsec over FastConnectの構成
  • ルータ冗長構成

 図 5事前に用意した検証項目をスムーズに実施できた

図 5事前に用意した検証項目をスムーズに実施できた

「アット東京Cloud Lab」のユースケース

今回FastConnectのネットワーク接続に関して「アット東京Cloud Lab」で接続検証をしましたが、他にどのようなユースケースがあるのかを以下にまとめてみました。

  • ネットワーク検証(障害時の切り替わりやマルチクラウドの検証)
  • データ転送(オンプレミス環境のデータをクラウドに持ち込む際の一時的な利用)
  • アプリケーションとデータベースの遅延テスト(クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境を想定)
  • オンプレミス環境からクラウド環境への移行リハーサル

例えば、オンプレミス環境からクラウドへのデータ移行の時間を短縮したいが専用線を引くのはコストや時間の面でハードルが高いといったときには、データを「アット東京Cloud Lab」に持ち込んで移行する一時利用の環境として使うことができます。また、ハウジングラックの貸し出しサービスもあるため、疑似オンプレミス環境を再現した検証を行うことができます。

感想とまとめ

実際の回線を使用したリアルな検証を行えたことは、クラウド環境を提案する立場としてオンプレミス環境のルータの設定までを経験できる非常に良い経験でした。また、「アット東京Cloud Lab」についても、実際の回線を使った検証環境が簡単に用意でき、本番環境を想定した試験を行えることはぜひ皆様にも知っていただきたいと思います。

ご興味のある方は、ぜひ一度「アット東京Cloud Lab」を利用してみてください。

このブログ記事が皆様の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人 日本オラクル 福島



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