2026.11.02

はじめに
こんにちは、また所属が変わりましたが書いてもキリがないので、さけみ(酒見)です。
今回は、最近注目のAzure SREエージェントを利用して、ExpressRouteのトラブルシューティングに役に立つかどうかを試してみようと思います。
Azure SREエージェントとは
Azure SREエージェントは、Azureリソースや監視情報などをもとに、障害の調査や運用作業を支援するAIエージェントです。
自然言語で質問すると、関連する情報を集めて状況や原因の候補を整理し、設定変更などの対応を提案したり、構成に応じて実行したりすることができます。
Azureの各種リソースへのアクセス、トラブルシューティングのためのナレッジ、スキルがもともと備わっているほか、New RelicやPagerDutyなどの外部サービスとの連携も可能です。
詳しくはAzure SREエージェントの概要もご覧ください。
ExpressRouteのトラブルシューティング
さて、さっそくExpressRouteのトラブルシューティングを始めてみましょう。
今の状態としては、ExpressRoute回線を作成し、アット東京さんにてプロビジョニングを行っていただいた"だけ"の状態です。
このままではオンプレミス側とAzure側はもちろんつながりませんが、その状態からいろいろ調べてもらいます。
最初のトラブルシューティング
ということで、つながらないよ、というところからチャットしてみます。
リソース名など少しぼかしは入れていますが、とりあえず通信可能かを聞いてみます。

ExpressRoute接続の調査
予想どおりではありますが、確かにつながらないという回答が返ってきていますね。
実は言っていなかったのですが、ExpressRoute Gatewayは作成済みだったので、そこを自動的に確認してくれていました。賢いですね。

ExpressRouteのピアリングと接続の不足
"graph LR"とあるのでMermaid形式かなと思いますが、リソース同士の関係を示す図も書いてくれています。
赤い部分が"not configured"、確かにそこが足りていないということですね。
この後の手順につながりますが、AzurePrivatePeering(プライベート ピアリングの設定)が無いことと、ExpressRoute回線とExpressRoute Gatewayをつなぐ接続(Connection)リソースが足りていないのではないか、と指摘されています。

未構成のExpressRoute接続構成
Private Peeringの作成
では早速作成していきましょう。
ユーザー自身で作成してもよいのですが、せっかくなのでAzure SREエージェントに手伝ってもらいます。
ちなみに、Azure SREエージェントは"Review"モードで動かしていますが、依頼をすれば設定変更もできるみたいです。
今回は検証用途のため、操作対象のリソース グループに対して、Azure SREエージェントのユーザー割り当てマネージドIDに共同作成者(Contributor)ロールを割り当てています。
リソース グループ単位の共同作成者は、その範囲内の多くのリソースを変更できる広い権限です。
本番環境では必要な操作と対象を絞り、最小限の権限を付与するようにしましょう。
アット東京さん側からいただくVLAN IDと、自分たちで設計したAS番号(ASN)、2つの/30のIPアドレス帯をAzure SREエージェントに渡します。
VLAN IDは接続を識別する番号、ASNはBGPで自律システムを識別する番号です。ここでの2つの/30は、ExpressRouteのプライベート ピアリングで使うAzure側とオンプレミス側のルーター間のリンク用サブネットです。
オンプレミス側でBGPを設定するルーターは、CE(Customer Edge)ルーターと呼ばれます。

ピアリング設定値の確認
念のため、ユーザーに承認を求めるダイアログが出ます。
内部的にはAzure CLIを使って設定するようですが、ぱっと見問題なさそうなので"Approve action"をクリックします。

プライベート ピアリング作成の承認
少し待っていると、Azure SREエージェントのチャット画面上ではFailedと表示されました。
一方、Azureポータルでは設定が作成されていることを確認できました。エージェントの表示とポータル上の状態が食い違っていますが、今回の情報だけではFailedと表示された原因は特定できませんでした。

プライベート ピアリング作成の失敗表示
接続(Connection)リソースの作成
ということで、次にExpressRoute回線とExpressRoute Gatewayをつなぐ接続(Connection)リソースを作成していきます。
同様に依頼し、"Approve action"をクリックします。

ExpressRoute Gateway接続作成の承認
ちなみに、先述のとおりAzure SREエージェントに共同作成者を割り当てて作業が進んでいるので、アクティビティ ログ上でも該当のアカウントでの操作ログが出ています。(分かりづらいですが1行目が該当します。)

ExpressRouteリソースのアクティビティ ログ
BGPの検証
ここまでのリソース状態の確認とは別に、オンプレミスとの接続にはCiscoルーター側でのBGP設定も必要です。
今回はCloud labでの検証のため、別途手動でルーターの設定を投入した後、設定が完了したことをAzure SREエージェントに伝えて、あらためて状態を確認してもらいます。

BGP設定の確認項目
簡易的な検証のため、今回はCiscoルーター1台で確認しています。
Azure SREエージェントに状態を確認させると、先ほどと同様にMermaid形式の図が表示されました。
図では2本の/30リンクそれぞれに対応するPeerがどちらもConnected(接続済み)ですが、一方のPeerで受信経路が1件、もう一方では0件となっています。
ここでいう受信経路は、Azure側がオンプレミス側からBGPで受け取った経路です。
このように、PeerがConnectedであることと、そのPeerから経路を受信していることは別の状態として確認できます。

ExpressRouteの2つのPeerと受信経路の状態
かかったコスト(参考)
ここでお見せした検証以外にもいろいろと試行錯誤をしてみましたが、ここまでの検証で、調査や操作にかかったActive flow(従量料金)の使用量は20AAUとなっています。
今回の検証では、画面上の表示をもとにすると20AAUは約2ドルでした。
なお、別途、Azure SRE エージェントの価格と課金に記載されているAlways-on料金が追加でかかり、2026年10月時点ではエージェント1つあたり毎時4AAUです。
Always-on料金はチャットしていない時間やエージェントを停止している間も発生し、エージェントを削除するまで続きます。
評価用の無料枠などが適用される場合を除き、予算を考える際にはActive flowとAlways-onの両方を含める必要があります。
モデル プロバイダーによって費用は異なり、あくまで2026年10月時点で確認した価格の前提で、Azure OpenAIモデルはAnthropicモデルの1/3の費用でした。
価格や換算条件は変わる可能性があるため、利用時には最新の情報をご確認くださいませ。
まとめ
今回は、最近個人的に注目しているAzure SREエージェントを使ったExpressRouteのトラブルシューティングについて紹介しました。
Azure SREエージェントなどのエージェント類は基本的には読み取り権限でトラブルシューティングに使うシナリオが多いかと思いますが、今回は共同作成者の権限を付与した設定変更まで試してみました。
チャットの内容がそもそもやや"わかってる側"のユーザーの依頼だったかもしれませんが、それでもAzure SREエージェントを使うことで、設定の確認や手順の補助がスムーズに行えました。
また、今回の調査や操作にかかった従量料金は比較的安価でしたが、継続利用ではAlways-on料金も含めて費用を判断する必要があります。
まだまだ利用例が少ない分野ではありますが、エージェントとしてどこまでやれるか、任せられるかを判断しながら、仕事の効率化を図っていきたいところです。
皆さまもぜひAzure SREエージェントを活用して、「んーまだまだだな」というところを探してAzure SREエージェントを育てていきましょう。


