新入社員向け超基礎講座 第3回「ネットワークって何?その1」

かつてテレビのゴールデンタイムでUFO特集をやっていました。

目撃情報や実際のビデオ映像などが紹介され、「この飛行物体の動きは

ちょっと科学では説明できませんね、地球外生命体が存在するのでは?」

なんてやってました。

真偽のほどは置いといてもバラエティ番組として結構おもしろいと思って

ましたが、最近そんな番組は全くやらなくなりました。

でも実は多くの天文学者はまじめに地球外生命体と交信しようと約60年

探査を続けているという話も聞きます。

異星からのメッセージを待つSETI(Search for Extra Terrestrial 

Intelligence)と地球の情報を電波にのせてメッセージを送るMETI

(Messaging to extraterrestrial intelligence)という2つの方法で

交信を試みています。

1977年にはアメリカの天文学者ジェリー・イーマン博士が、いて座の方向

から自然界に存在する電波の約30倍という強い電波を受信し、分析の結果、

人工衛星や探査機の電波ではないことは確認されたものの、発信源は今も

謎だとか。

また、天文学の世界では1974年プエルトリコの「アレシボ電波望遠鏡」から

放たれた「アレシボ・メッセージ」が有名だそうで、1から10までの数字や化学式、

人間の絵などを暗号化して送ったといいます。

でも宇宙人さんの住所もわからないのにどこに送ったの?と思いますが、

送ったのはヘルクレス座の中の球状星団「M13」(なんかウルトラマンみたい)

です。

さて、M13って地球からどれくらいの距離かというと2万5000光年。

1光年は光が1年間に進む距離だから、宇宙人さんが即レスしてくれたとして

往復考えると返事が届くのは1974年から・・・5万年後です!

そう考えると我々がかかわるネットワークの世界が少しだけ簡単に

見える気がしませんか?(錯覚ですけど・・・)

ということで、超基礎講座第3回をはじめます。

今回のテーマは「ネットワークって何?その1」です。

その1でおおまかな概念を、その2で少しブレイクダウンしていこうと思います。

ネットワークという膨大な内容を。たった2回で。とてつもなく無茶ですが、

1回5分~10分ぐらいで読める範囲の内容です。よろしくお願いします。

LANとWAN

【図1】

LAN(Local Area Network:構内通信網)はローカルエリアという言葉の通り、

建物内、家庭内などの限定された範囲の中で構築されたネットワークです。

スキルのある人であれば、必要な機器とケーブルを用意して自力で構築できます。

企業の場合、各社員にPCが与えられ、ネットワークで各サーバーなどに繋がって

仕事をしています。こういった会社の中のネットワークをイメージしてもらえれば

といいと思います。

LANは有線LANと無線LANがあります。有線LANは銅線や光ファイバーを用いた

通信ケーブルで各機器をつなぎます。

一方無線LANは物理的なケーブルではなく、電波を用いた無線通信で行います。

LANに対して、WAN(Wide Area Network:広域通信網)はワイドエリア

という言葉の通り、地理的に離れた場所にある拠点間を結ぶネットワークです。

WANは自力ではつなげませんので、通信事業者のサービスを利用します。

オープンなネットワーク(公衆)とクローズドネットワーク(閉域網)

クラウドを実現するために必要な技術でイメージできるようにしておきたいのが

オープンなネットワーク、つまり不特定多数の誰でも利用できるものとして、

  • 公衆交換電話網
  • ISDN回線
  • インターネット

があります。

公衆交換電話網(Public Switched Telephone Networks:PSTN)

固定電話で電話をかけるときに使うアナログ回線です。家の電話で誰かと話すとき、

その音声はこの回線を通じてそのまま音声データとして送られます。

一方ISDN回線(Integrated Services Digital Network)は音声データを

0と1のデータに変換して送ります。ISDN回線は1つの電話番号で2つの回線を

使用可能で、ネットを見ながら同時に電話で会話できます。

この2つのサービスは電話だけでなく、データ通信としてかつて多くの企業で利用され、

現在でもまだ少なからず店舗のPOSシステムやCAT端末などのデータ通信の

ネットワークとして残っています。

ただ、この2つのサービスはまもなく廃止されるため、企業は別の手段への

切り替えが必要となっています。(公衆交換電話網は2025年1月、ISDN

デジタル通信モードが2024年1月に廃止予定。)

インターネットはネットワーク同士をつないで、世界中につながって個人、企業問わず

誰もが利用しています。全世界に開かれたオープンなネットワークです。

一方、クローズドネットワークは、企業などの特定のユーザーに限定された利用者だけの

閉じられた世界の中での通信です。閉域網といういい方もします。

クローズドネットワークには

  • 専用線
  • インターネットVPN
  • IP-VPN
  • 広域イーサネット

などがあります。

要件にあわせてネットワークを使う

企業はこれのネットワークを要件に合わせて使い分けます。

要件とはそのネットワークに求められる機能、性能、条件です。

ではどう使い分けするのか。

2拠点間を高いセキュリティで結ぶなら専用線です。

一方コスト重視ならインターネットVPNです。これはインターネットというオープンな

ネットワーク上に仮想的な専用線網を構築するものです。予算が厳しい場合は、一定の

セキュリティを担保しつつ安価に利用できるインターネットVPNが適しています。

複数拠点間での通信で、インターネットVPNよりも高いセキュリティが必要で、

ある程度の予算が確保できるならIP-VPN広域イーサネットが適しています。

【図2】

IP-VPNは、使用するプロトコルの違いで、IPのみを使うのであればIP-VPN

それ以外のプロトコルも使うのであれば広域イーサネットを選択することになります。

プロトコルとは、通信を行う上でのルールです。

言語のようなものと思ってください。日本語でやり取りするか、英語でやり取りするか、

お互いに事前に決めた上で会話をしないと話が通じない、というようなものです。

IP-VPNは設定しやすいが、IPだけなのでカスタマイズの自由度は低いです。

いろいろなプロトコルを使いたい、自由にカスタマイズしたいという場合は

広域イーサネットです。

また、広域イーサネットは自由度が高い反面、サービスを利用するユーザー側は

自由度の高さを活かせるスキルが必要ですし、導入、運用の工数は大きくなります。

逆にスキル的に難しい、運用工数をかけられないならIP-VPNの方が適しています。

まとめ

LANとWAN

LAN(Local Area Network:構内通信網)

建物内、家庭内などの限定された範囲の中で構築されたネットワークで、有線LANと

無線LANがある。

WAN(Wide Area Network:広域通信網)

地理的に離れた場所にある拠点間を結ぶネットワークで、通信事業者のサービスを

利用する。

オープンなネットワーク(公衆)とクローズドネットワーク(閉域網)

オープンなネットワーク(公衆)

不特定多数の誰でも利用できるネットワーク。

公衆交換電話網ISDN回線インターネットがある。

クローズドネットワーク(閉域網)

企業などの特定のユーザーに限定された利用者だけの閉じられたネットワーク。

インターネットVPNIP-VPN広域イーサネットがある。

要件にあわせてネットワークを使う

  • セキュリティ重視なら、閉域網である専用線IP-VPN広域イーサネット
    などのサービスを使う。2拠点間で予算が合えば専用線、予算が厳しければ
    IP-VPNと広域イーサネットで比較検討。

  • コスト重視ならインターネット。でもセキュリティもある程度担保したいなら
    インターネットVPN

  • カスタマイズの自由度より多拠点接続で運用負荷を極力軽くしたいならIP-VPN
    カスタマイズの自由度優先なら広域イーサネット

いかでしたでしょうか?

今後、その2もあるので今回は軽めにしたつもりです。

ブログの内容が少しでもお役に立てれば幸いです。

それではまた!

この記事を書いた人 Sherpa

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