Azure ExpressRouteの帯域変更時の注意点について

2023.10.19

Azure

みなさんこんにちは。

夏も終わって涼しくなりましたねといいたいところですが、

このブログを書いている時点でまだまだ全然暑いのです・・・

こう暑いと私は散髪に行きたくなります。

散髪と言えばなのですが、美容院って普通予約して行きますよね?

でもコスパ重視のお店だと予約不可で早いもの勝ちだったりします。

行ってみたらとんでもなく待ちが出ていて、そんなに長時間待っていられない場合は

仕方なくまた出直すはめになったりすることもあります。

これは「散髪可能だけど、待ち時間を考えると実質今日はできない」という場合があり得る、

つまり「できるけどできない場合もあり、必ずできるわけではない」ってことかと思います。

今回のテーマは「AzureのExpressRouteの帯域変更時の注意点」なのですが、

こちらも同じく「できるけどできない場合もあり、必ずできるわけではない」というお話

です。

できるといわれると自分に都合よく解釈して無条件でできるつもりになって

しまいがちな気がします。

知らないまま進めて大変なことにならないようExpressRouteをご利用中の方、

これからご利用予定の方など、念のためご一読の上進めていただけたらうれしいです。

ExpressRouteを利用した閉域接続の構成

最初に構成を確認しておきます。

オンプレミス環境からAzureに閉域接続する場合の構成ですが、

接続プロバイダーが提供するクラウド接続サービスとMicrosoftが

提供するAzureExpressRouteを2つ組み合わせて構成します。

今回接続プロバイダーが提供するクラウド接続サービスは弊社の

ATBeXを使って説明します。

ここでは、ExpressRouteで200Mbpsの帯域を変更して500Mbpsに増速したい場合

を考えます。

図1)上段の通り、A社はオンプレミス環境からATBeX接続回線を2本

引いています。これは物理回線で、帯域は1Gbpsです。

このATBeX接続回線の中に、それぞれATBeX論理回線を200Mbpsずつ

引いています。

A社は論理回線を1回線しか引いていませんが、2本、3本と複数引くこともできます。

ただし、あくまでもこの接続回線を通るのはA社の論理回線だけで、

他社の論理回線がこの接続回線の中を通ることはありません。

接続回線1Gbpsという帯域は、A社専用に確保された帯域ということになります。

そしてExpressRoute。こちらは200Mbpsでご利用中です。

ATBeX、ExpressRouteを増速する

図1)上段の構成のまま、下段のようにATBeX、ExpressRouteをそれぞれ増速します。

まずATBeXの増速です。

ATBeX接続回線の帯域は1Gbpsなので、この1Gbpsを超えない範囲であれば

増速できますし、論理回線を増やすことも可能です。

論理回線の増速は無停止でできます。

次にExpressRouteですが、こちらも無停止で増速可能です。

ただし、ATBeXが接続回線の帯域の範囲内であれば論理回線は

いつでも増速可能であるのに対し、ExpressRouteはいつでも

増速できるように帯域が確保されているわけではありません。

ExpressRouteが必ず増速できるとは限らないのは、

接続プロバイダーとAzureの間の物理的な接続状況に依存するからです。

図2)の通り、Azureに接続するためにアット東京のTokyo2という

ロケーションを選択したユーザーは、この水色の物理的な接続を共有することになります。

この物理的な接続部分は、ユーザーごとにそれぞれ将来の拡張分の帯域までが

確保されているわけではないので、他のユーザーの利用状況によっては、

増速できる帯域容量がなくなっているかもしれません。

そういった状況になった場合、A社は増速したいと思ったときに増速できない

という事態が起こり得るのです。

この認識なしでATBeX接続回線と同じ感覚でいるとアレ?なんでできないの?

とびっくりしてしまうかもしれませんので、頭に入れておいた方がよいかと

思います。

では増速できない場合どうなるかというと、別途新規に回線を申請し、

既存の回線を廃止するということになってしまいます。

表1)にAzureに加えて他のクラウドも帯域変更による論理回線の増速・減速が

できるかできないかをまとめました。

各クラウドによってできたりできなかったりしますが、できるが、必ずできるわけではない

というAzureの増速は特に注意が必要かもしれません。

というのも、増速できるとだけ覚えているとなぜか頭の中で無条件にできるものと

都合よく変換されてしまうかもしれませんので、条件付きな点をお忘れなく。

それともう1つ。Azureは増速はできますが、減速ができません。

この点は予算管理&トラフィック管理が難しいかもしれません。

トラフィックが減ったからやっぱり帯域を下げたいと思っても

できないので、その場合はやはり新設/廃止対応が必要となります。

あまり帯域に余裕を持たせすぎると、帯域を下げられないだけにコスト面でつらく

なります。かといってギリギリの帯域も怖いしと悩むところかもしれません。

これも注意が必要ですね。

それでは、最後にまとめです。

まとめ

ExpressRouteを利用した閉域接続の構成はオンプレミス環境から

接続プロバイダーのクラウド接続サービス(ATBeX)ExpressRoute

と2つのサービスを組み合わせてつなぐ

ATBeX接続回線の範囲内であればATBeX論理回線の増速、追加が可能。

ExpressRouteの増速は可能だが、アット東京~Azure間の物理的な接続に

空きがあることが条件となり、空きがない場合は申請が通らない場合がある。

ExpressRouteは、増速はできるが、減速ができない。

減速したい場合は新設/廃止対応が必要となる。

いかがでしたか?

Azure ExpressRouteご利用にあたって少しでもお役に立てたらうれしいです。

それでは、また!

この記事を書いた人 @Sherpa



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