2024.07.10
目次
はじめまして。株式会社ドリコムでインフラを担当している岡田です。
弊社はゲーム事業やメディア事業など展開している会社で、私の部署では負荷試験サービスやMSPサービスを提供しております。
今回はゲーム事業のクラウド移行における、データベースのデータ移行についてご紹介します。
サービスのクラウド移行
オンプレ環境のサーバ老朽化やDX、クラウドのマネージドサービス利用による運用コスト削減などの様々な理由でサービスの移行を実施する事があるかと思います。
ドリコムでも過去にオンプレ環境からパブリッククラウドへの移行や国内クラウドからパブリッククラウドへの移行を行ってきました。
サービスの移行では環境の構築など含め様々な作業が発生しますが、最も重要な部分はデータの移行になるかと思います。
データ移行にも様々な手法があり、今回は以下の内容について紹介出来ればと思います。
・AWS Database Migration Service
・レプリケーション
AWS Database Migration Service
AWS Database Migration Service(AWS DMS)は、データベースをAWSに移行するためのサービスです。
特徴は以下になります。
・同種類のデータベースだけでなく、異なるデータベースへのデータ移行にも対応
・テーブルマッピングで移行対象などを細かく設定
・AWS Key Management Service(KMS)とAWS Secure Socket Layers(SSL)を使った暗号化により高度なセキュリティ設定が可能
構成としては以下の図1ようになり、移行元の環境からAWS DMSにインターネット経由で接続しデータ転送を行う形になります。
また、AWS DMSではマッピングを利用し3台で構成されている移行元のデータベースを1台のRDSに集約することも可能で、移行時にコスト最適化を実施することもできます。
ただ、DMSはテーブル、PK、データ以外は移行できない制約や、サポートされていないデータ型などの制約があるため、細かな検証が必要となります。
図1 AWS Database Migration Service
レプリケーション
こちらはAWS DMSを経由せずに移行元環境のデータベースと移行先のAWSのAuroraとを直接レプリケーションを構築、構成するかたちになります。図2に構成を示します。
構成は移行元環境から移行先のAuroraに対してレプリケーションを設定するのみになるので設定はシンプルなものになります。
暗号化通信等は自分たちで行う必要があるため、MySQL側のSSL設定やVPNによる接続設定などを行う必要があります。
ただ、AWS DMSの制限も受けないためネットワーク接続に問題がなければ比較的スムーズに移行できるかと思います。
mysqldump、Xtrabackup
mysqldump、Xtrabackupは移行元と移行先でレプリケーションなどの設定を行わずにバックアップファイルを利用して直接データを移行するかたちになります。構成を図3に示します。
VPN接続などの事前の準備などはほぼなくテストも容易ですが、データベースのデータ容量が大きい場合はバックアップ、リストアともに時間が掛かってしまうため、メンテナンス時間がより多くかかってしまうことになります。
ただ、データ容量が小さい場合は手軽に行えるため、メリットもあります。
図3 mysqldump, Xtrabackup
データ移行について説明してきましたが、移行手法については準備期間やサービスのデータ容量、メンテナンスの時間に合わせてどの移行手法が良いか検討することになるかと思います。
オンプレからクラウドへのデータ移行において、DMSやレプリケーションを組んで移行する際にVPNを設定する必要が出てくるかもしれません。ネットワーク関連についても事前に調査や検証が必要になるでしょう。
VPNによるクラウド間の接続などに問題がある場合は、アット東京のATBeXと仮想マネージドルータサービスを用いてクラウド間を折り返し接続することも可能ですので、ネットワーク設定が出来るエンジニアがいない場合などは検討すると良いと思います。仮想マネージドルータサービスでは、ルータの設定をアット東京エンジニアが担当しマネージドサービスで提供されます。
クラウド移行や運用保守、コスト削減、DevOps改善、負荷試験などに関して無料相談を実施しております。お悩みごとなどありましたらお気軽にご相談ください。
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