ATBeX SLAについて詳しく解説します!

ATBeX SLAについて詳しく解説します!

みなさんこんにちは。

世の中がまだバブルと言われていた頃の話。私は某ファミリーレストランの厨房にいました。

調理と清掃をする深夜のバイトだったのですが、早く仕事を覚えるため、あえて「戦場」と言われる

ディナーの時間に入って修行していました。ディナーでは正社員Aが司令塔(このポジションの呼び名

があったはずですが忘れました。ここでは司令塔Aとします)となって、自らはハンバーグを焼く鉄板

とオーブンを担当し、バイトはフライヤー(揚げ物、これが私の担当)、パスタ、サラダ、デザート等の

各ポジションに1名ずつ担当が割り振られ、司令塔Aからの指示を受けて調理します。どんな状況でも

的確な指示を出し、てきぱきとこなす司令塔Aの姿はとても頼もしく、それはそれはカッコよかった

ものです。

そしてこう言うのです。

「いいか?おれたちに与えられた時間はたったの10分だ。どんなに忙しかろうが、どんなに伝票が

長かろうが(要するにオーダーされた品数が多いとめっちゃ長くなる)、そんなことは客には関係ない。

10分で出すんだ。全部の客にだ。今日もパーフェクトだ!いくぞ!」

そういうとパンパンと手をたたいてメンバーを鼓舞します。

えー正直若干セリフはドラマっぽく盛ってるところもありますが、だいたいこんなようなことを本当に

言ってましたし、ディナーが始まる前には、まるで何かの部活で試合直前に円陣を囲んでいるかの

ような独特の緊張感と高揚感を覚えています。そして1つのミスもなくすべてのお客さまに10分提供

で乗り切ったとき(これが司令塔Aが言うパーフェクト)は、なんとも言えない不思議な、時給以上の

達成感がありました。

しかし、ある日事件が起きます。いつも頼もしい司令塔Aが、なんとグラタンをオーブンから出す

タイミングが遅れ、焦がしてしまったのです。

でも彼は、そのグラタンを取り出すやいなや、目にもとまらぬ早業で焦げた部分(のせたチーズの部分

だけ)を素早く鉄箸でペラーっと剥がし、チーズをのせ直し、再びオーブンへ放り込むとニコッと

笑ったのでした。当時そのファミレスは対外的に10分提供を約束していたわけではありませんが、

司令塔Aのプライドは並々ならぬものがありました。あの場面であのオペレーションが本当に

正しかったかはわかりません。ですが、司令塔Aのこだわりは

「お客さまがいつ来ても一定のクオリティで料理を提供すること」

でした。この「一定のクオリティ」とはズバリ、「サービスレベル」にほかならないのです。

「いらっしゃいませ」からはじまり、オーダーを受け、オーダーから10分以内で料理が運ばれ、

食事が終わってお会計をして「ありがとうございました」までの接客サービスのクオリティ。

正しい手順・方法で調理することで担保される料理それ自体のおいしさというクオリティ。

「一定のクオリティ」はこの両方をクリアしていなければだめなのです。

料理の提供に時間がかかりすぎてしまうと、料理を食べる前に「一定のクオリティで料理が提供される

こと」を満たせないことが確定してしまうのです。

そうならないよう、彼は彼なりのやり方で、「一定のクオリティ」、つまり今日のテーマでもある

「サービスレベル」を必死に守り通したのだということは間違いないでしょう。その後しばらくして

「サービスレベル」という言葉が巷でよく取り上げられるようになったとき、私は決まって司令塔A

が持っていたプライドとあの笑顔を思い出すのでした。

アット東京にだってこの司令塔Aに負けない想いで働くネットワークエンジニアたちがいます。彼らが

日夜しっかり運用しています。だからこそATBeXはサービスレベルを保証しますと宣言できるの

です。

では、今日のテーマ「ATBeX SLAについて詳しく解説します!」を始めましょう。

SLAとは?

そもそもSLA(Service Level Agreement:サービスレベルアグリーメント)とは何でしょうか?

かつては、30分以内に配達できなかったら、割引or無料みたいなサービスをやっているピザ屋さんも

あったような記憶があります。最近だと、通販などで「もしご満足いただけない場合、全額返金

します!」なんてのも結構見かけるのではないでしょうか?

でも私たちが身近に受けるサービスで、具体的な数値までが保証されたものってあまりないかも

しれません。

一方、法人間で契約するSLAでは、サービスを提供する事業者(以下「サービス提供者」)がサービス

の利用者(顧客。以下「サービス利用者」)に対し、サービスの性能や品質を保証するための基準とし

て、具体的な数値が示されます。これらをサービス提供者とサービス利用者双方で合意したものがSLA

です。

「ご満足いただけない場合・・・」のように主観的な判断や定性的な評価ではなく、具体的な数値を

双方で合意し、そこで取り決めた数値を達成できなかった場合、どの程度達成できなかったかに

応じて、どのくらいの割合で返金するのかといったところまで決めておきます。

SLAのメリットとは?

サービス利用者側のメリット

1つは一定の品質を満たすサービスを利用できることです。

そのサービスを利用するにあたり、各社のサービスレベルの比較ができ、明確な基準をベースに

サービス事業者を選択することができます。契約前にこの事業者と契約したらどのくらいのサービス

レベルが期待できるのかが明確になります。

また、契約後も実際に期待したレベルが満たされているかを容易に確認することができ、評価しやすい

です。

もう1つは、障害等のトラブルで基準を満たせなかった場合にスムーズに返金を受けることが可能

であることです。明確な取り決めがないまま両者で話し合いを最終的な返金処理方法まで合意に至る

には、相当な時間と労力を費やすことになるでしょう。反対にSLAで定めておけば、どのくらい基準

を下回ったから、返金率は何%になるので、いくら返金しますというような話し合いをスムーズに進め

ることが可能です。

サービス提供者側のメリット

1つは提供するサービス内容、責任範囲が明確になることです。

どんなサービスをどういう基準で提供すればいいのか、基準となる数値はいくつなのかを決めて

しまえば、それを確実に満たしたサービスを途切れることのないよう継続的に提供すればいいので、

何をどれくらいがんばればよいかが明確です。

もう1つは、障害発生時にサービス提供不可となった場合の対応がしやすいことです。

例えば稼働率を保証しているネットワークのサービスでサービスが止まってしまった場合の時間の長さ

に応じて返金率を決めておいたとします。実際に障害が発生したとき、止まってしまった時間に応じて

返金率が決まるので、その返金率分のサービス料金を返金する処理を行えばよいわけです。

双方にとってのメリット

サービス提供者側とサービス利用者側の双方にとってのメリットは無用な衝突を回避できることです。

契約に明記されていない部分で、ここまでやってもらえると思っていた、ここまででよいと思っていた

などといった双方の認識のずれがあると、いつの間にか大きな衝突に発展してしまうかもしれません。

そうなるとそれまで築いてきたお互いの信頼関係を壊してしまうかもしれません。これを回避する手段

としてもSLAは有効な対策の1つです。万一障害等の有事の際、サービス料金を減額するしない、

返金するしないの交渉に膨大な労力と時間を浪費することなく、スムーズに話し合いを進めていき

やすいのではないかと思われます。

ATBeXにSLAを新設するに至った背景とは?

2022年4月に全国約1,700の地方自治体が2025年度末までにデジタル庁が整備する

ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行することが閣議決定されました。

同時にデジタル庁は2022年10月に「地方公共団体情報システムの ガバメントクラウドの

利用に関する基準【第 1.0 版】」の中で、クラウド接続サービスの提供については、SLA

として、ネットワーク稼働率 99.99%以上とすることを示しました。これにより、地方公共団体

向けの案件に提供するサービスは、SLAが必須要件となりました。

一方で、ATBeXは東京、大阪にはじまって北は北海道から南は沖縄とアクセスポイントを増やし、

全国展開を進めていて、絶賛エリア拡大中です。このような状況下で、ATBeXは2024年4月より

サービス約款を改定し、より広いエリアで、より多くのみなさまへ、より安心してサービスを利用して

いただけるようSLAを新設することになりました。

ATBeXに新設するSLAの内容

SLA項目とは?

さて、SLAといっても様々な項目があるのですが、どのような項目が思い浮かびますか?

かつてはピザの宅配で30分以内に配達しますと言って守れなかったら割引とか無料とかといった話が

あったような・・・、ですが交通安全上の問題やクレームを助長する可能性などの問題で現在は実施

されていないとか。ネットワークのサービスであれば、稼働率、故障回復時間、遅延時間、帯域保証

などの項目が設定されています。稼働率はネットワークが正常に稼働している割合です。基準値として

稼働率99.99%以上のように一定の「割合(%)」の数値が設定されます。同様に、故障回復時間は

文字通り故障などで停止した際に復旧にかかる時間です。基準値として30分未満のように「時間」の

数値が設定されます。遅延時間は、ネットワークの対象期間内におけるパケットの往復時間が基準値を

超えないことを保証します。50msのように主に「ミリ秒単位の時間」で設定されています。

帯域保証は、ネットワークの契約帯域に対して実際のパフォーマンスとしてのネットワークの帯域を

保証するものです。100Mbpsの契約に対して95Mbpsのようにbps(ビット/秒)という単位の数値が

基準値として設定されます。このようにネットワークのサービスのSLAといってもいろいろな項目が

あるのですが、ATBeXが保証しているのは可用性です。可用性稼働率で基準値を設けます。

基準値を月間稼働率99.999%以上と設定していて、基準値を下回ると返金対象となります。

SLA適用となる構成とは?

ATBeXSLA項目として月間稼働率99.999%以上を保証していますが、SLAを適用するため

には条件があります。それは何かというと、冗長構成です。

サービス約款上での表現としては接続回線は以下の2点を満たす必要があります。

・同一拠点内で同一の利用者により契約された2つの接続回線から構成される。

・2つの接続回線が1系2系の別系路で構成される。

また、論理回線は以下の2点です。

・同一の利用者により契約された2つの論理回線から構成される。

・2つの論理回線が1系2系の別系路で構成される。

このあたりは文字だけだとわかりづらいので、図1を見てください。

図1)SLA適用となる冗長構


ATBeX
はこのようにラックから接続回線という物理的な回線でつなぐことになるのですが、この接続

回線を2本引きます。そしてその2本の収容先となる収容機器を分け、1系、2系と呼ばれる異なる

経路に分けて引きます。これにより、接続回線が2本同時に通信断にならない限り、障害にならないと

いうわけです。そしてこの2本の接続回線に対して、論理回線を1系に1本、2系に1本通すことで

冗長構成ができあがります。これがSLA適用となる冗長構成です。

SLAはいつから適用される?

2024年4月1日よりATBeXサービス約款が改定となり、SLA適用開始となります。

稼働率と返金率の関係は?

こちらも表1)を見た方が早いです。

表1)月間稼働率、月間累積故障時間と返金率の関係


月間累積故障時間
とは、何らかの原因で障害が発生し、通信断となった時間の月間の合計です。

また、返金率は文字通り返金する割合ですが、元になるのはATBeXの月額料金です。

返金率2%なら月額料金の2%をお返ししますということです。

ATBeXは稼働率99.999%以上を保証します。月間累積故障時間が25秒を超えると99.999%

を満たせなくなります。このとき返金率は2%となります。同様に月間累積故障時間が4分19秒を

超えると稼働率99.99%を満たせなくなり、このとき返金率は10%となります。月間累積故障時間

が14時間24分を超えると返金率は100%となり、全額返金することになります。

どういう場合に返金されるのか?手続きは?

これは当社側の原因で障害が発生して、1系、2系両系が同時に通信断となった場合、回線の故障と

判定します。その月の故障時間を合計し、月間累積故障時間が25秒を超えると返金対象となり

ます。返金処理は少々面倒かもしれませんが、サービス利用者から30日以内に返金申請を出して

いただき、故障時間が何時(分、秒)から何時(分、秒)までどれくらいだったのかサービス利用者と

当社で認識を合わせます。そこで両社で認識が合うと返金率が決まります。あとは返金率に応じて

具体的な請求処理へと進めていきます。

なお、障害の原因がサービス利用者側又はクラウド側要因によるものだった場合は対象外となります。

それでは、最後にまとめです。

まとめ

1.SLA

SLA(Service Level Agreement:サービスレベルアグリーメント)とは、サービスを

提供する事業者が契約者に対し、サービスの性能や品質を保証するための基準として、具体的な数値が

示され、その基準を達成できなかった場合、サービス料金の一部又は全部を返金する契約のこと。



2.SLAのメリット

サービス利用者側のメリット

・契約前にサービスレベルを把握することができ、サービス提供者を比較できる。

・一定の品質を満たすサービスを利用できる。

・障害等のトラブルで基準を満たせなかった場合にスムーズに返金を受けることが可能。

サービス提供者側のメリット

・提供するサービス内容、責任範囲が明確になる。

・障害発生時にサービス提供不可となった場合の対応をすすめやすい。

双方にとってのメリット

・サービス提供者側とサービス利用者側の間での無用な衝突を回避できる。



3.ATBeXにSLAを新設するに至った背景

・全国約1,700の地方自治体が2025年度末までにデジタル庁が整備するガバメントクラウドを活用

 した標準準拠システムへ移行することが閣議決定された。

「地方公共団体情報システムの ガバメントクラウドの利用に関する基準【第 1.0 版】」(デジタル

 庁公表)の中で、クラウド接続サービスの提供については、SLA として、ネットワーク稼働率 

 99.99%以上とすることが明記された。

ATBeXは全国にエリア拡大中。

 ⇒より一層広いエリアで、より多くのみなさまへ、より安心してサービスを利用していただけるよう

  SLAを新設



4.ATBeXに新設するSLAの内容

SLA項目

稼働率、故障回復時間、遅延時間、帯域保証などの項目が設定されている。

アット東京が保証している項目は可用性であり、基準値として稼働率99.999%以上を保証

している。

SLA適用となる構成

・2つの接続回線が1系2系の別系路で構成される。

・同一の利用者により契約された2つの論理回線から構成される。

・2つの論理回線が1系2系の別系路で構成される。

SLAの適用開始時期

・2024年4月1日よりSLA適用開始

稼働率と返金率の関係

・月間累積故障時間25秒超~4分19秒以下⇒稼働率99.999%未満99.99%以上⇒返金率2%

・月間累積故障時間4分19秒超~43分以下⇒稼働率99.99%未満99.9%以上⇒返金率10%

・月間累積故障時間43分超~7時間12分以下⇒稼働率99.9%未満99.0%以上⇒返金率20%

・月間累積故障時間7時間12分超~14時間24分以下⇒稼働率99.0%未満98.0%以上⇒返金率50%

・月間累積故障時間14時間24分超⇒稼働率98.0%未満⇒返金率100%

どういう場合返金されるのか、手続き

・当社側の原因で障害が発生して、1系、2系両系が同時に通信断となった場合、回線の故障と判定

・サービス利用者にて30日以内に返金申請を出していただき、故障時間が何時(分、秒)から

何時(分、秒)までどれくらいだったのかサービス利用者と当社で認識を合わせる。

・両社で認識が合うと返金率が決定。返金率に応じて具体的な請求処理実施。

※このページに掲載されている内容、サービス/製品の価格、仕様、その他の情報は、掲載時点の情報

 です。その後予告なしに変更となる場合があります。


いかがでしたか?

ATBeXご利用にあたって少しでもお役に立てたらうれしいです。

それでは!

この記事を書いた人 @Sherpa

 

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