2025年もますますAIビジネスが熱くなりそう!3つのキーワードからみるAIビジネス界隈

2025.04.07

技術関連

みなさんこんにちは!@Sherpaです。

問題です。

「月に代わっておしおきよ!」の決め台詞で大ヒットしたアニメは・・・

「美少女戦士セーラームーン」

・・・ですが、

日本を代表する研究者が集結し、内閣府が中心となって科学技術、イノベーション政策の一環として

進めている、月にまつわる名前がついた大型研究プログラムとは何でしょうか?

1961年に米国が「1960年代が終わる前に月面に人類を着陸させる」と公約し、その公約通り1969年に

達成したアポロ計画に由来する名称です。

それはムーンショット型研究開発事業です。

ムーンショットは、困難だけど実現すれば大きな成果をもたらすような計画を意味します。

この事業では、2040年~2050年の人々の幸福実現のため、10個のムーンショット目標というものを

掲げています。(https://atbex.attokyo.co.jp/j2w5hgd3/news2/edit/127

この中の目標3は、「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生する

ロボットを実現」ですが、目標に向けて8つのプロジェクトでロボット関連の研究・開発が進行しています。

さて、AIはどこまで進化するでしょうか?

「汎用AI(AGI:Artificial General Intelligence)」と呼ぶにふさわしい存在が現れるか否かが1つの

ポイントになるかもしれません。

汎用AIは人間と同等、あるいは人間よりも少し優れた能力を持ち、幅広いタスクをこなせるAIです。

現状のAIは特定のタスクや領域に限定された世界ではかなり優秀な動作をするようになってきていますが、

あくまで「特定の・・・」であり、まだ汎用性があるとまではいえない状態です。

ですが、目標3のプロジェクトが順調に進めば、2027年から2029年ごろにはこの汎用AIが登場してくる

かもしれません。そして、AIの進化とともにロボットも進化しています。

AIREC(アイレック)は早稲田大学総合理工学部の菅野教授が開発した汎用ロボットです。

AIRECは調理、洗濯といった家事から接客、介護、診断のようなことまでなんでもできちゃうスマート

ロボットです。いろんな仕事を人間の代わりにロボットにやってもらう。だから一家に1台、ロボットがいる、

もしかしたら1人1台ロボットを持つ。そうなったら、街中ロボットと一緒に歩いている人や単独行動している

ロボットを普通に見る・・・。もしかしたらそんな時代がやってくるかもしれません。

ちなみに大阪・関西万博ではムーンショット目標を体感できる期間展示が行われる予定らしいので、

一見の価値ありかもしれませんね。

それでは今回のテーマ

「2025年もますますAIビジネスが熱くなりそう!3つのキーワードからみるAIビジネス界隈」

の話を始めたいと思います。

キーワード①「生成AI」

今やこのことばを聞いたことがないという人はほとんどいないのではないでしょうか?

その認知度を高めたのはご存じChatGPTでしょう。

このブログを読んでいる方なら生成AIが何か、ChatGPTが何かの説明は不要かもしれません。

DeepSeekも話題になりました。

生成AIが従来のAIと違うのは、特定のタスクの解決ではなく、新しいコンテンツを生み出す

ことを目的としている点です。ビジネスにおいては、AIに決められた作業を自動化してもらうのではなく、

AIに新しいコンテンツを生成してもらうという使い方になります。大雑把には以下4つの場面などでの

活用が有効なようです。

 

1.問い合わせ対応関連

コールセンターのように顧客からの問い合わせ、社内のバックオフィスへの社内問い合わせに対し、

蓄積されたナレッジで適切に自動回答したり、内容によってサポートチームへの効率的な

エスカレーションを行ったりすることで問い合わせ業務の効率化を図ります。

 

2.マーケティングコンテンツ作成関連

特定のテーマや対象ターゲットなど、さまざまな条件設定を指示することで、メルマガ、各種広告、ブログ、

SNSなど各メディアへ掲載するテキストを生成してもらいます。広告のコピーなどはクリエイティブな発想が

必要とされますが、ゼロから自力で考えたり、高い外注費を払ったりしなくても作成することが可能です。

 

3.商品・サービス企画関連

自社の商品・サービスについて情報を与え、市場動向やニーズを踏まえて新しい商品・サービスのアイデア

出しをしてもらうことが可能です。自社の商品、サービスをまったくゼロの状態から生み出すとなると

かなり大変ですが、生成AIを活用することで負荷を大幅に軽減でき、効率的です。

 

4.データ分析・予測関連

何らかの意思決定が必要な場面において、過去のデータ、外部環境、内部環境などをもとに生成AI

予測モデルをつくらせて、それをベースに戦略の立案をしたり、投資判断の材料としたりすることが可能です。

また、Webやコールセンターへの問い合わせに寄せられた声は宝の山でもありながらも、こういった声が

必ずしも十分に活かされないままになっている可能性もあります。こういったデータを分析し、サービス改善

のアイデアを創造することも可能でしょう。もちろん上記であげた例以外でもさまざまな活用方法があり、

今後も生成AIの性能の向上とともにさらにその可能性は広がっていくことでしょう。

 

キーワード②「半導体」

AIのパフォーマンスを左右する重要なファクターとなるのが「半導体」です。

まず「導体」は、金属のように電気を簡単に通します。例えば、銅線やアルミニウムなどです。

一方で、「絶縁体」は、ゴムやプラスチックのように電気をほとんど通しません。

「半導体」はその中間にあたる物質です。例えば、シリコンは、あまり電気を通しませんが、

温度を変えるなどの特定の条件を加えると、急に電気を通し始めます。

このような性質を利用して、スイッチのように電気の流れを制御する役割を果たしています。

AIは膨大な量のデータを高速で処理しなければならないため、半導体チップ(シリコンなどの

半導体材料を基盤とし、複雑な電子回路を一体化したもの)に高い性能が求められ、半導体チップの

性能がAIのパフォーマンスに大きく影響します。

そのため、このAIは〇〇社の半導体が使われていて・・・とセットで語られることが多くなるわけです。

半導体を提供する主なベンダーはNVIDIA、Intel、AMD、Google、Apple・・・などがあります。

ただ、ここに挙げた半導体ベンダーはそれぞれタイプが異なっています。図1)を見ながら整理しましょう。

 

【図1】

 

一口に半導体ベンダーといってもいろいろなタイプがあり、主にはファブレス(Fabless)

ファウンドリ(Foundry)、IDM(Integrated Device Manufacturer)などに分類されます。

半導体ベンダーのタイプは以下の通りです。

  

・NVIDIA=ファブレス

・Intel=IDM

・AMD=ファブレス

・Google=ファブレス的な役割も担う

・Apple=ファブレス的な役割も担う

・Qualcomm=ファブレス

・NXP Semiconductors= IDM

・Microsoft=ファブレス的な役割も担う

・TSMC=ファウンドリ

  

ファブレス(Fabless)というのは、fab(fabrication facility=工場)を持たないことを意味し、

自社で生産設備を所有せず、設計、開発に特化し、製造は製造専門の企業に委託するスキームで

製造業としての活動を行う企業です。反対に、ファブレスの企画・開発・設計に沿って、

受託製造に特化した生産専門メーカーをファウンドリ(Foundry)と呼びます。

IDM(Integrated Device Manufacturer)は自社製造工場を持ち、「企画、設計、製造、

組み立て、検査、販売」までの全工程を一社ですべて行い、自社ブランド製品を販売する会社です。

日本トップクラスの半導体メーカーであるルネサスエレクトロニクスはこのモデルに該当します。

なお、Google、Apple、Microsoftはご存じの通りメインのビジネスが異なるので、そもそも純粋な

半導体ベンダーではありません。しかし、このところ自社の製品、サービスの競争優位性を高める

ため、自ら設計し、製造はファウンドリへ委託するというファブレスと同等のことをしているので、

ここでは「ファブレス的な役割も担うと表現しています。

今後各メガクラウドやOpenAIなどがAIサービスをリリースして性能を競い、そこに搭載される半導体

めぐっては、NVIDIAとそれに挑戦する企業が激しい競争を繰り広げることになると思われます。

ですが、その裏で誰が勝とうが負けようが関係なく確実に儲かるファウンドリがいます。

半導体チップの性能は1つのチップに搭載されるトランジスタの数で決まるので、トランジスタを微細化

すればするほど性能をあげていくことができます。

そして、このトランジスタの微細化で世界一の技術をもつのが世界最大の専業半導体ファウンドリ

TSMCです。TSMCはより小さなトランジスタをより密に配置することを可能にし、半導体の性能をアップ

させるためにEUV露光※)技術という特殊な技術を駆使して、EUV露光装置という半導体製造装置を使い、

他社ではマネできない製品を作ることができます。

EUV露光=波長が13.5nmの極端紫外線(Extreme Ultraviolet:EUV)を用いた半導体露光技術のこと

そして、このEUV露光装置を製造できるのはASMLというオランダに本社を置く半導体装置供給ベンダー1社

だけです。AIで誰が勝者になっても、半導体で誰が勝者になっても、結局のところこのTSMCとASMLの2社に

富は流れていく構造です。川の上流で流れがどう変わろうと最終的には同じ海に流れ着くということでしょうか。

世界一の技を持っていればこそなわけですが、ちょっとうらやましいポジションです。

  

キーワード③「AIエージェント」

(1)AIエージェント

AIエージェントは、特定の目標を達成するために、必要なタスクを自律的に選択し、実行するAIシステムです。

生成AIがコンテンツを生成することを目的としているのに対し、AIエージェントは特定の機能や役割を実行

するための「実行役」として、目標を達成すること、問題を解決することを目的として動きます。

 

(2)AIエージェントの位置づけ

ブルームバーグの報道によれば、OpenAIが提唱するAI進化の5段階は以下の通りです。

エージェントはこのStage3のレベルです。

(https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-07-11/openai-sets-levels-to-track-progress-toward

-superintelligent-ai)

 

Stage 1: “Chatbots, AI with conversational language”

 ⇒チャットボット:会話型AI。

  人間と普通に自然な言語で話すことができるレベル。

  2022年後半にリリースされたChatGPTがこれに該当。

 

Stage 2: “Reasoners, human-level problem solving”

 ⇒推論者:博士号レベルの教育を受けた人間と同等にこなせるレベル

 

Stage 3: “Agents, systems that can take actions”

 ⇒エージェント:ユーザーの代わりに行動を起こすことができるシステム 。ChatGPT o1が該当。

 

Stage 4: “Innovators, AI that can aid in invention”

 ⇒イノベーター:発明を支援できるAI。

 

Stage 5: “Organizations, AI that can do the work of an organization”

 ⇒組織:組織全体の仕事をこなせるレベルのAI。

 

(3)活用イメージ

まずはAIエージェントの前に、1つの例として従来の歓迎会の幹事の仕事を例に考えてみます。

幹事の仕事の流れを表したのが図2)です。

 

【図2】

 

A社の総務部では、人事異動でXさんが着任することになったため、Bさんは部長のCさんから歓迎会の幹事を

やってくれと依頼を受けました。Xさんと総務部所属メンバーのスケジュールを調整し、全員が参加できる

日程で、着任から1ヵ月以内に実施することを目標にタスクを進めていきます。

総務部所属メンバーとコミュニケーションをとりながら、日程調整・決定、歓迎会の案内、当日の司会進行役、

開会挨拶、乾杯、締め挨拶をやってもらう人を決めて、それぞれ事前にお願いしておきます。

また、一人いくらぐらいにするのか、Xさんからは会費をもらうのかもらわないのか、会費は事前に徴収する

のか当日集めるのか、あとでもらうのかなど相談して決めていきます。Xさんに向けては、同様に日程調整・

決定、歓迎会の案内に加えて、Xさんの好き嫌い・アレルギーの有無の確認も行います。

そして、飲食店に対しては、Xさんの好き嫌いなどを参考に食事内容を相談したり、コースの予約をしたり、

キャンセルの場合を含めて予算を管理します。

一方、この一連の流れにAIエージェントを活用した場合のイメージが図3)です。

 

【図3】

 

BさんはAIエージェントに依頼すれば、タスク1つ1つを指示する必要はなく、あとはAIエージェント

必要なタスクを自力で洗い出し、実行してくれます。もちろん、そのためには事前に幹事業務がどのような

業務なのか、A社総務部ではこれまでどのように歓迎会を行ってきたのかをAIエージェントに学習しておいて

もらう必要がありますが、そのあとは基本的に自律的にタスクを実行していくイメージです。いずれにしても、

AIエージェントが進化し、さまざまなシーンで労働市場に食い込み、浸透すれば、企業の生産性を大きく

変えるポテンシャルを持っていることは間違いないでしょう。

 

AI×ATBeX

企業が業務の中でAIを活用していくにあたり、社内の情報をAIに学習させて、業務効率化を図っていこう

という場面を考えてみます。図4)を見てください。

 

【図4】

 

例えば、

「お客さまに自社の商品、サービスを提案する際、ヒアリングした要件を踏まえ、どの商品、サービスを提案

すべきだろう?」と思ったとき、社内情報を学習済みの社内向けAIに聞けば、

「予算のレンジに応じて商品A、商品B、商品Cはいかがでしょうか?加えてオプションでDというサービス

も提案してみてはいかがでしょうか?」などと答えてくれたら、提案書を効率的に作成できるかもしれません。

「過去にも似たプロジェクトがあるはずだから、あらかじめ問題点をおさえておきたいけど、どこに情報ある

のかな」と思ったとき、

「○○プロジェクトに関連する過去のプロジェクトは以下の5つのプロジェクトが該当します。

各プロジェクトで課題となったのは・・・。その主な原因は・・・。」と提示してくれたら、同じ失敗を回避

できるかもしれません。

「育休制度を利用したい。社内規定変わったって聞いたけど手続きどうやるのかな?」と思ったら

「当社は今年度から社内規定が改正され、育児休暇期間中は給与の60%が支給されることになりました。

育児休暇申請については次の申請をあげてください。具体的には・・・」と手続きを案内してくれたら、

書類を探したり、知ってる人を探すなどしなくても済みます。

でも、このようにクラウド上のAIサービスを使って業務に活用する場合、AIに自社の社内情報を学習させて

おく必要がありますが、そんなときネットワークはどう考えるべきでしょうか?

AIに自社の社内情報を学習させる場合であれば、できればネットワークはインターネットを経由せず、

閉域のネットワークでクラウドに接続するのが望ましいです。

というのも、AIが学習すべき社内情報は多くの機密情報を含んでおり、当然社外秘の絶対に漏れてはいけない

情報ばかりです。オープンなネットワークであれば、データが常に漏洩リスクに晒されていることになるから

です。

そこで、社内情報とAIを閉域のネットワークで接続することで、セキュリティ上のリスクを抑制することが

できます。図4)の水色のルートはATBeXと各クラウドが提供する専用線サービスを組み合わせることで構築

される閉域のネットワークのイメージです。この中を通すことで、外部に情報が流失するリスクから守りつつ、

安全にAIに社内情報を学習させることができます。アット東京はAIサービスを提供しているわけではありませんが、

クラウド上のAIサービスを提供する企業、クラウド上のAIサービスを活用する企業に、クラウド接続サービスを

提供しています。AIに社内情報を学習させて業務を効率化していく事例は、それこそChatGPTに聞いてもたくさん

出てくるようになりました。

今後もさまざまなシーンでますますAIが活用されていくことが予想されますが、もし閉域のネットワーク

つなぎたいなというときは、ATBeXを候補の1つに考えてみていただけたらうれしいです。

 

まとめ

1.キーワード①「生成AI」

生成AIの活用の仕方としては、決められた作業を自動化してもらうのではなく、AIに新しいコンテンツを

 生成してもらうことを目的とした以下4つのような活用方法が有効。

(1)問い合わせ対応関連

(2)マーケティングコンテンツ作成関連

(3)商品・サービス企画関連

(4)データ分析・予測関連

 

2.キーワード②「半導体」

・半導体はAIのパフォーマンスを左右する重要なファクター。

半導体ベンダーは主にファブレス(Fabless)ファウンドリ(Foundry)IDM(Integrated Device

 Manufacturer)などに分類され、ファブレスにはNVIDIA、ファウンドリにはTSMC、IDMにはインテル

 などがある。Google、Apple、Microsoftはファブレス的な役割も行っている。

・AIや半導体の競争がどうなっても、トランジスタの微細化技術で世界一のTSMCと世界で唯一EUV露光装置

 を製造できるASMLは変わらず利を得る構造になっている。

 

3.キーワード③「AIエージェント」

AIエージェントは、特定の目標を達成するために、必要なタスクを自律的に選択し、実行するAI

 システム。特定の機能や役割を実行するための「実行役」として、目標を達成すること、問題を解決する

 ことを目的として動く。

・OPEN AIが提唱するAI進化の5段階でエージェントはStage3のユーザーの代わりに行動を起こすことができる

 システムというレベル

AIエージェントの活用イメージ図3)参照

 

4.AI×ATBeX

・企業が業務の中でAIを活用していくにあたり、社内の情報をAIに学習させて、業務効率化

 を図っていく場合、セキュリティの観点からネットワークは閉域のネットワークが望ましい。

閉域のネットワークでクラウドと接続するならば、ATBeX+各クラウドの専用線サービスによって、

 閉域かつ帯域が確保されたセキュアなネットワークを実現できる。

 

いかがでしたか?

AIビジネス界隈について多少なりとも伝わりましたでしょうか?

ブログの内容が少しでもお役に立てれば幸いです。

それではまた!

この記事を書いた人 @Sherpa

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