2024.07.31
こんにちは。ATBeXのサービス企画を担当しております、かずまです。
今年の夏も本当に暑いですね!みなさんは如何お過ごしでしょうか?夏の季節はビーチリゾートで過ごすのも楽しいですが、暑さに弱い私は、早く涼しい秋が来て、ゴルフやキャンプにでも行きたいなぁと思っている今日この頃です。
秋といえば・・・そうです、この秋、9月末からの予定で、ATBeXの新しいクラウド接続サービス「ATBeXクローズドアクセス Type-A」の提供が開始されます!
この「ATBeXクローズドアクセス Type-A」は、通信事業者であるアルテリア・ネットワークスの提供する通信回線・サービスを組み合わせて、ワンストップでクラウド閉域接続を提供するサービスです。どのようなサービスなのかは、本記事を読み進んでいくとおわかりになると思います。どうぞ最後までお付き合いください。
今回は、このサービスについてご紹介したいと思います。
目次
サービスの概要
「ATBeXクローズドアクセス Type-A」は、お客さま拠点までの通信回線も含め、クラウドへ接続するために必要な設備をワンストップでご利用いただくことができるサービスです。図1に示すように、アクセス回線と中継ルータ、クラウド接続回線の3つの要素から構成されており、お客さまのご要望や環境に応じて、アルテリア・ネットワークスの提供する各種回線・サービスを組み合わせて提供します。
図1:ATBeXクローズドアクセス Type-A サービス概要
サービスの特長
まず、本サービスの特長を図2にまとめました。
図2:ATBeXクローズドアクセス Type-A サービスの特長
ワンストップ
本サービスでは、クラウド接続に必要なアクセス回線、中継ルータ、クラウド接続回線をセットでご提供します。ご要望に応じてお客さま拠点に設置のルータの手配やネットワーク(アドレス、ルーティング、VPNポリシー)の設計、ルータのConfig設定、オンサイト工事などを含めて提供することもできます。したがって、ネットワークのことがよくわからないお客さまでも本サービスをご利用いただくと、安心してクラウド接続を実現することができます。また、トラフィックレポートサービス(VOSS:VECTANT Online Support System)も標準で提供します。死活監視、状態監視、性能監視を行い、障害発生時などにメール等により通知されます。さらに、ネットワークの監視、障害・工事・アナウンス情報の閲覧や各種設定が可能な監視Webポータルもご提供します。
フレキシブル
クラウド接続回線の帯域は、50Mbps、100Mbps、200Mbps、500Mbps、1Gbpsまでの5品目から選択可能です。お客さまが必要とする帯域に応じた選択ができます。帯域の変更も論理的な設定変更で可能ですので、将来的な需要の変化にも対応できます。
接続先クラウドは、メガクラウド4事業者です。マルチクラウド接続にも対応していますので、中継ルータを利用したクラウド間通信により、アクセス回線への通信負荷を抑え、シンプルなネットワークを実現します。
アクセス回線は、帯域を専有する「専有型」とベストエフォート型の「共有型」の2タイプを用意しています。「共有型」ではNTT東日本/西日本のフレッツ光を利用できますので、全国のエリアから利用できます。そのため、幅広い地域からの多様な接続要求にフレキシブルに対応することが可能です。
リーズナブルな価格
クラウド接続回線や中継ルータ(Dedicated品目)では、契約帯域に応じた料金体系になっていますので、お客さまが必要とする最適な構成とすることができ、余分なコストを発生させずにリーズナブルに提供することができます。また、アクセス回線はフレッツ光が選択できますので、この部分のコストを大きく削減することが可能です。
高品質・高信頼性
クラウド接続回線は、帯域確保型のネットワークで構成されており、SLAも附帯しています。また、1契約で論理回線を2本提供する冗長構成が標準となっています。
中継ルータ(Shared品目)では、異筐体からなる冗長構成となっていますので、可用性が高く安心してご利用することができます。
BCP対策にも
中継ルータとクラウド接続回線は、東京と大阪のそれぞれで提供可能です。広域災害に対応した東阪冗長構成を実現することも可能です。
サービスの構成
図3に、サービス構成図を示します。既に前項で説明しておりますが、大きく分けて「アクセス回線」「中継ルータ」および「クラウド接続回線」の3つの要素から構成されます。それぞれの要素からお客さまの要件に適合するサービスを選択してネットワークを構成します。ここでは各要素について解説します。
図3:ATBeXクローズドアクセスType-Aのサービス構成図
アクセス回線
アクセス回線は、お客さま拠点と後述する中継ルータとを結ぶ通信回線です。帯域保証型専用線を利用する「専有型」と、ベストエフォート型の通信回線を利用する「共有型」の2タイプから選択できます。
専有型では「ダイナイーサ」を選択できます。ここでは1Gbpsの品目を利用できます。中継ルータへの接続には「専用線アクセス」サービスも併せて必要となります。
共有型では、閉域IP網である「VECTANTクローズドIPネットワーク」を介して中継ルータへ接続します。「VECTANTクローズドIPネットワーク」のアクセス回線として提供されているベストエフォート型の専用線である「光アクセス(U)」、もしくはNTT東日本/西日本の提供する「フレッツ光」を利用できます。「光アクセス(U)」は100Mbps、500Mbps、1Gbpsの帯域から選択できます。「フレッツ光」はお客さまで手配いただくこととなりますが、日本全国で利用できることが大きな特徴で、利用料金も専用線と比較すると大幅に安価です。例えばNTT東日本の「フレッツ光ネクスト・ギガファミリー・スマートタイプ」では最大通信速度は1Gbpsです。(最大通信速度は、技術規格上の最大値であり、実使用速度を示すものではありません。)
中継ルータ
中継ルータは、アルテリア・ネットワークスのNFV(Network Function Virtualization:ネットワーク仮想化技術)サービス「VANILA」で提供される仮想ルータサービス「vCenterRouter」を利用します。クラウド接続に必要なBGPなどの機能を提供しますが、SharedとDedicatedの2つの品目から選択できます。
Shared品目は、一つのソフトウェア環境(VM環境)を複数のお客さまでシェアいただくモデルです。本タイプは、異筐体からなる2つのルータで構成されていますので、冗長構成が標準となっています。
Dedicated品目は、お客さま専用のソフトウェア環境として利用することができるモデルで、お客さまごとの要件に適したカスタマイズが可能です。25Mbpsから2.5Gbpsまで5Mbpsごとに必要な帯域を設定できます。また、シングル構成と冗長構成を選択することができます。
どちらの品目を選択すべきかを悩まれるかもしれませんが、単純にスループットに注目して検討するのであれば、共有型のアクセス回線の場合はShared品目が、専有型のアクセス回線の場合はDedicated品目が、それぞれ相性が良いのではないでしょうか。
クラウド接続回線
アルテリア・ネットワークスのプレスリリースにもあるように、アット東京とアルテリア・ネットワークスとの協業によって、アルテリア・ネットワークスのVANILAサービス基盤とアット東京の相互接続プラットフォームATBeXが接続しました。クラウド接続回線は、この両者の接続によって実現した「VANILA PrivateRoute」サービスの「CloudConnectタイプ」を利用するのですが、クラウドにはATBeXを経由して接続されているのです。「ATBeXクローズドアクセスType-A」というように「ATBeX」がつく名称となっている理由がわかりましたね。
「VANILA PrivateRoute」の「CloudConnectタイプ」は、1契約でATBeX論理回線2本がセットになった冗長構成が標準で提供されます。そのため、例えばクラウド事業者のメンテナンスによってクラウド接続回線の片系が一時的に利用できない場合でも、冗長構成になっているので途切れることはありません。
帯域品目は、接続先のクラウド事業者に関わらず、50Mbps、100Mbps、200Mbps、500Mbps、1Gbpsの5品目から選択できます。ATBeXは帯域確保型のネットワークですので、実際に必要となる帯域の品目を目安に選択すると良いでしょう。
接続できるクラウド事業者は、Amazon Web Services(AWS)、Azure、Google Cloud、Oracle Cloud(OCI)です。マルチクラウド接続する場合には、複数ご契約いただく必要があります。
接続構成例
皆さまのご理解をより深めていただくために、本サービスを利用したクラウド閉域接続の構成例を紹介します。
冗長構成時のバックアップ回線として
高い可用性が求められる場合には、クラウドへの接続経路を冗長構成とすることが一般的です。いざというときにも普段と変わらない接続性を提供するためのバックアップ回線ですので、メイン回線と同等の性能・品質のものを用意しておくべきですが、言うまでもなくバックアップ回線側にはメイン回線側が利用できないときしかデータは流れません。メイン回線側は専用線を利用して帯域確保された高品質な回線で構成するものの、専用線を複数維持するにはコストもかかります。このように、バックアップ回線のコストをできるだけ抑えたい場合には、バックアップ回線側にフレッツ光を利用するという方法がおススメです。
例えば実質的に求められる通信帯域が50Mbps程度であり、帯域の変動を許容できる用途であれば、フレッツ光はメイン回線が復旧するまでの間だけと割り切ってしまうことで有力な選択肢になります。
フレッツ光を利用する場合は、料金は利用する距離には関係ありませんので、クラウド接続拠点のある東京や大阪から地理的に距離の離れた拠点より利用する場合、専用線を使う場合とのコストの差が大きくなります。
図4に示す構成例では、メイン回線の一例としてアット東京のCloud Direct Connect Packによって帯域保証型の専用線を使って高品質なクラウド接続を実現しています。そして、バックアップ回線として「ATBeXクローズドアクセス Type-A」を利用して構成した例を示しています。アクセス回線としてフレッツ光を利用することで、コストを大幅に削減することが可能です。クラウド接続回線部分は帯域確保型ですので、必要とされる帯域に応じた帯域品目を選ぶことができます。例えば、フレッツ光、クローズドIPネットワーク、中継ルータ(Shared品目)、クラウド接続回線(50Mbps)の組み合わせですと、月額利用料が10万円を切るような組み合わせも実現することが可能です。(機器の保守・サポートなどのマネージドサービスの選択次第では別途月額費用が発生する場合もあります。予めご了承ください。)
なお、クローズドIPネットワークは、東日本エリアから大阪の中継ルータへ接続することが可能です。そのため、バックアップ回線側を大阪のクラウド接続回線からのクラウド接続とすることで、広域災害に対するBCP対策として東阪冗長構成を実現することもできます。
図4:冗長構成のバックアップ回線として利用する場合の構成例
中小規模のクラウド閉域接続用として
ここまでバックアップ回線としての活用例を紹介してきましたが、このサービスは、共有型のアクセス回線をクラウド接続のメイン回線としてご利用いただくこともできます。
通常、同一拠点にてフレッツ回線を2回線契約したとしても、アクセス回線部分を異経路で構成されることはないため、冗長構成とする意義が薄れてしまいますが、ベストエフォート型の専用線である光アクセス(U)を活用することで、図5に示すように比較的リーズナブルにアクセス回線からクラウドまでの完全冗長構成を実現することができます。光アクセス(U)の提供エリアは、北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県の一部です。このエリアであっても回線設備の状況次第では利用できないこともありますので、ご利用の際は事前の確認が必要です。
また、アクセス回線部分について、冗長構成なしでフレッツ回線のみで構成することも可能です。お客さまが利用されるシステムの要件次第ではございますが、実質的に必要とされる帯域が概ね100Mbps程度以下であり、また帯域の変動などを許容できるのであれば、ご利用いただけるケースもあるかと思います。ぜひご検討ください。
図5:ベストエフォート型専用線とフレッツ回線を組み合わせて冗長構成とした構成例
複数拠点のクラウド接続を集約
ここで、もう一つ別の構成例を紹介したいと思います。
複数のお客さま拠点からのクラウド閉域接続を構築することを考えてみます。拠点ごとにクラウドと1対1で接続すると、クラウド接続回線のコストも拠点の数だけ発生してしまいます。特に、複数のクラウドへの接続をしようとする場合は、ネットワーク構成がとても複雑になることが想像できるでしょう。将来的に拠点が追加・変更するような場合や、接続先のクラウドを変更するような場合には、構成変更への対応がとても大変になることが予想されます。
そのような場合には、中継ルータを中心に組み立てて、クラウド接続回線を接続先クラウドごとに集約する構成をおすすめします。拠点ごとのアクセス回線は1回線だけ用意すれば良くなりますし、拠点の追加や変更に対しては、当該拠点のアクセス回線だけを追加・変更するだけで済みます。また、クラウド間の通信は中継ルータで折り返しますので、アクセス回線へのトラフィック負担を軽減することができます。接続先のクラウドに変更がある場合には、そのクラウドへのクラウド接続回線だけを変更することになります。このように、将来的な拡張や変更に対してとてもフレキシブルに対応できるネットワークを構成することが可能になります。また、シンプルなネットワーク構成となりますので、回線コストを最適化することができます。
図6に示す構成例では、お客さま拠点が3カ所(本社1、支社2)あり、各拠点からAWSとOCIの2つのクラウドへの接続を実現しています。この例ではアクセス回線は専有型と共有型を組み合わせていますが、すべて共有型のフレッツ回線とすることも可能です。クラウド接続回線は、接続先のクラウドごとに集約していますので、2つだけとなっています。因みにVANILA vCenterRouter Shared品目の最大接続拠点数は30です。Dedicated品目では最大500対地です。そのため、拠点数が多い場合には集約効果の高いネットワークを構成することができます。
図6:複数拠点のクラウド閉域接続を集約する構成例
以上、ATBeXクローズドアクセスType-Aについて、紹介してきました。アクセス回線と中継ルータ、クラウド接続回線の組み合わせ方によって、さまざまな接続ニーズに応えることが可能ですし、構成次第ではコストを大きく抑えることが可能です。ここで紹介した構成例は一例に過ぎません。お客さまの要件によってさまざまな構成をくみ上げることができますので、気になられた方は是非お問い合わせください。
最後に
ATBeXクローズドアクセス Type-Aのサービス提供開始は秋とお知らせしました。すでに申し込みの受付は開始しております。是非ご検討ください。
ところで、サービス名にある「Type-A」の「A」って何?と気になったかもしれません。アルテリア・ネットワークスのAと思われた方も多いかと思いますが、実を言うと・・・・、明確に定義があるわけではないのです(笑)。アルファベットの最初の文字の「A」かもしれませんし、アルテリア・ネットワークスの「A」かもしれません。しかも「Type」という単語を使っているので、なんだか今後別の「Type」の登場を予感させますね!次はどんな「Type」が登場するのでしょうか?みなさん、ATBeXの今後の展開を楽しみにしていてくださいね!
本ブログが皆さまのご理解の一助になると嬉しいです。
この記事を書いた人 かずま
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※このページに掲載されている内容、サービス/製品の価格、仕様、その他の情報は、掲載時点の情報です。その後予告なしに変更となる場合があります。
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