ラックを借りないDCの使い方:ONUお預かりサービス編

はじめに

「天抜き」を皆さんはご存知ですか?

そば抜きの天ぷらそばを「天抜き」というようです。

写真1:お惣菜を組み合わせた自作の「天抜き」の写真

ざるそばのそば抜きのように、このようなメニューはネタでしか存在しないと思っていたので、実在することに驚きですね!

ちなみに、私にはそば屋に行って天抜きを頼む度胸はありません。。。

さて、データセンターと何の関係があるのか、と不思議に思われた皆さま。

これからの話をお読みいただいけば「天抜き」の話を出したことを納得いただけるかと思います。

どうぞお付き合いください。

データセンターの主な商品はハウジングラックやコロケーションのスペース契約ですが、お客さまにはスペースを契約し電源や空調設備を使っていただくだけでなく、ネットワーク回線やオペレーション支援などのオプションサービスもご利用いただいています。

写真2,3,4:左から順にハウジングラック,ケージングコロケーション,コロケーションの写真

そこで、少し強引ですが、データセンターをそば屋に例えたわけです。

  • スペースや電源/空調設備:そば
  • 通信環境:つゆ
  • オプションサービス:トッピング

となるかと思います。では「天抜き」と同じように、スペース契約なしでデータセンターを契約することは可能なのでしょうか?

可能です!

アット東京のデータセンターは、天抜きのように通信環境とオプションサービスのみを利用することもできます。

データセンターの「天抜き」サービスの例:

  • ONUお預かりサービス
  • Cloud Lab
  • Cloud Direct Connect Pack
  • ATBeXクローズドアクセス Type-A
  • 仮想マネージドルータサービス

すべて紹介したいところですが、この記事では「ONUお預かりサービス」の活用方法と最近のトピックにフォーカスして紹介します。

ONUお預かりサービスってどんなサービス?

ONUお預かりサービスとは、当社管理のラック内において棚板で細かく区切られたスペースに、キャリア回線のONUをハウジングラックの契約なしで設置できるサービスです。

ONUを設置したスペースにはお客さまがアクセスできないため、障害発生時の電源OFF/ON、LED確認、ケーブル抜き差し対応を標準でご利用いただけます。

 

写真5:ONUお預かりサービスの当社管理ラックイメージ

ONUお預かりサービスは以下でも紹介しております。

ブログ記事にも書いてあるように、ONUお預かりサービスは「ハウジングラックを所有せず、安価なコストでメガクラウドとお客さま回線を結ぶハブ的な場所」として利用することができます。

そんなクラウドへの接続環境構築で便利なONUお預かりサービスに最近大きなアップデートがありました。

今までは東京だとCC1、大阪だとDC12でのみ利用可能でしたが、2025年春からはCC3でもサービス提供を開始します!

ここからは、CC3でONUお預かりサービスをどのように有効活用できるのか紹介します。

CC3でのONUお預かりサービス

具体的な活用例:品川方面からCC1/CC2(当社データセンター)にあるメガクラウドへのダイレクト接続ポイントへの現状では最も短いと思われる接続ルートを構築

図1:品川方面からCC1/CC2に繋ぐイメージ

品川方面から専用線でCC1/CC2に接続しようとすると、東京港を迂回するルートを取らざるを得ません。(図1の赤色の点線イメージ)

せっかく広帯域で低遅延な専用線で繋いだものの、東京港を迂回して距離が伸びてしまって遅延するのは残念ですね。。。距離が伸びれば遅延が大きくなるだけでなく、光ファイバーでの通信であれば中継器なく通信できる範囲も狭まってしまいます。

そんな悩みを解決してくれるのがCC3でのONUお預かりサービスです!

CC3には東京港を横断する通信用光ファイバーケーブルが入線しているので、CC3までは専用線を手配し、CC3内はONUお預かりサービスでONUのみを設置、CC1/CC2のメガクラウドへのダイレクト接続ポイントには東京港横断の光ファイバーケーブルを経由したルートを利用することができます。(図1の赤色の実線のイメージ)

ONUお預かりサービスがあることで、データセンターを従来のサーバー等を運用するスペースだけでなく、最短での通信経路を構築する上でのハブのような場所として考えることができるようになります。

品川方面からの最短距離での通信ルートは無論のことですが、CC1/CC2から品川方面への低遅延のルート構築の際にももちろん活用いただけます。

ここまで遅延の削減という観点でしたが、そもそもの通信距離を短くできること自体にもメリットがあります。

キャリア回線の専用線サービスは一般的に中継回線網を経由することで提供されていますが、この中継回線網は複数の中継用機器や回線の収容装置で構成されています。(図2参照)

図2:通信事業者の一般的な専用線サービス

図2のような専用線サービスは、冗長構成で可用性を確保しているものの、機器数が多いため障害のポイントが多いことも事実です。

そのため、より広帯域でセキュアな専用線を利用したい場合はEnd to Endで中継機器を挟まず直接光ファイバーケーブルで接続することも選択肢に入ります。(図3参照)

図3:当社のひかりファイバーサービス

ひかりファイバーサービスは通信経路に終端装置以外の機器を挟まないことがメリットですが、拠点間のファイバー長によっては提供できなくなるデメリットがあります。(当社サービスの場合はファイバー長30km以下まで)

少し話が脱線してしまいましたが、通信距離を少しでも短くすることで中継機器を介さないで接続できる範囲が広がり、特に品川方面からCC1/CC2への接続の観点においては、図1に示した東京湾を迂回するルートとしないルートの距離の差が大きいので特にお役に立つかもしれません。

まとめ

この記事で紹介したONUお預かりサービスに限らず、冒頭にリストした「天抜き」サービスを紹介すると、決まってお客さまから申し訳なさそうに言われることがあります。

「そんな使い方していいんですか?」

もちろんデータセンター事業者としてはハウジングラックやコロケーションを契約いただくのが嬉しいですが、ONUお預かりサービスも当社の正式なサービスです。

単体で見れば、ラックを契約せずに回線の終端装置だけをデータンセンターに収容できるという至ってシンプルなサービスですが、この記事で紹介したように捉え方や組み合わせ方によっては面白い活用方法があります。

自社のニーズや提案している案件に少しでもはまりそうだと感じていただけたら、遠慮せずにお問い合わせいただけると嬉しいです!

短いですが、ONUお預かりサービス編はこれで以上です!次回もお楽しみに~!

この記事を書いた人 IG-9999

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