インテリジェントPDUのリモートモニタリング実証、その舞台裏をご紹介します!

2026.08.25

技術関連

当社のサービスである@EYEとATBeX、ラック運用に最適な機能を持つ、明京電機が取り扱うインテリジェントPDUを組み合わせ、アット東京Cloud Labを活用した実証実験を開始しました。(@EYEについてはこちら

実証実験を開始するにあたり、裏ではさまざまな試行錯誤がありました。

そこで今回は、その舞台裏を少しだけご紹介したいと思います。

実証開始までに直面した2つの課題

早速苦労話になりますが、実証開始までの過程で特に苦労したポイントが2つありました。

1.英文マニュアルの読み解き

まず1つ目は、まさかの英語です。

今回利用したインテリジェントPDUには日本語マニュアルがなく、約160ページにも及ぶ英語版マニュアルを読み解くところからスタートしました。

「今どき翻訳なんてAIに任せれば大丈夫だろう」と高をくくっていたのですが、そう簡単にはいきませんでした。

マニュアルは設定手順よりも機能説明が中心で、さらに複数機種共通だったため、今回利用する機種とは異なる画面例も混在していました。そのため、ログイン後にどの設定を変更すればよいのかを探すだけでも一苦労でした。

加えてファイルサイズも大きく、利用していたAIチャットではマニュアル全体を読み込ませることができません。必要な箇所だけを抜き出そうにも、そもそもどこに記載されているのか分からず、当時はかなり焦った記憶があります。

結局どうしたかというと、「IP Address」「HTTPS」「User」「Modbus」といった、これまで別の監視機器を設定した際の経験を頼りに、キーワード検索を繰り返しながら、必要な箇所を一つずつ翻訳して読み進めました。

最終的には、PDUへのアクセス設定、ログインユーザー権限設定、Modbusによるデータ収集設定などを確認し、機器側の設定を完了することができました。

今振り返ると、もっと効率的な方法もあったかもしれません。焦っていると視野が狭くなるという典型例だった気もします。

一方で、今回の経験によってインテリジェントPDUの仕様への理解が深まっただけでなく、AIの活用方法についても多くの学びを得ることができました。今後、海外製品や他社製品を扱う際にも活かせる経験になったと感じています。

そして何より、英語は勉強しておいた方が良いですね。

2. データ収集方式の選定と想定外の発見

次に苦労したのが、データ収集方式の選定です。

インテリジェントPDUは取得できるデータが豊富で、収集方式も複数用意されています。そのため、まずはどの方式でデータを収集するのが最適かを検討するところから始まりました。

候補となったのはSNMPとModbusの2方式です。

SNMPでもデータ収集は可能でしたが、OIDやコミュニティストリング、バージョンなど複数の設定項目を管理する必要があります。一方、Modbusは主にIPアドレスとレジスタ情報を設定することでデータ収集が可能です。

今回の実証では、データ収集をシンプルに行うことを重視し、複数台のPDUを管理する際の視認性や設定作業の容易さを考慮して、最終的にModbusを採用しました。

「設定も終わったし、いざデータ収集だ!」

そう意気込んだのですが、なぜか想定通りにデータが取得できない事象が発生しました。

まずはPDU側の設定やシステム側の設定を疑い、一つひとつ確認を進めました。しかし原因は見つかりません。

マニュアルを再度確認しても明確な記載はなく、明京電機の担当者の皆さまにも相談しながら調査を進めることにしました。

当初は設定漏れや実装上の問題を疑っていましたが、何度もやり取りを重ねながら確認していく中で、ようやく原因が判明しました。

なんと、インテリジェントPDUは機種によって取得できるデータ項目が異なっていたのです。

この違いはマニュアル上でも明確に確認できず、私たちにとっても予想外の発見でした。

結果的には、明京電機の担当者の皆さまと一緒に仕様を確認しながら理解を深めることができ、無事にデータ収集を実現することができました。

このほかにもさまざまな試行錯誤がありましたが、舞台裏のお話はこのあたりにしておきたいと思います。

それでは、今回の実証の全体像をご紹介します。

今回の実証構成イメージ

今回の実証では、ATBeXを活用してインテリジェントPDUの情報を@EYEへ連携し、ラック単位での電力監視や可視化が実現できるかを検証しています。

この実証によってどのような可能性が見えてきたのかをご紹介します。

実証の先に見えてきた可能性

今回の実証で特に面白いと感じたのは、ラック単位での監視をより手軽に実現できる可能性です。

従来、電力監視を行う場合は、当社が手配するセンサーを分電盤へ設置し、監視環境を構築する必要がありました。

特に既設盤への後付けの場合は、すでに稼働している分電盤に対する工事が必要となるため、追加の構築費用が発生するほか、導入までの期間が長くなる傾向があります。

一方で、お客様がすでにインテリジェントPDUを導入している場合は、そのPDUから取得できるデータを活用することで監視を実現できます。

これにより、分電盤へのセンサー設置工事を省略できる可能性があり、構築費用の削減だけでなく、導入期間の短縮や構築作業の簡略化につながると考えています。

今回の実証では、インテリジェントPDUから消費電力、電流、電力量、力率などのデータを収集し、@EYE上で可視化しています。これにより、お客さまが設置したPDUの情報を活用しながら、ラックごとの電力利用状況を遠隔から把握できるようになります。

また、重要な設備や特定のラックに対象を絞って監視を開始できるため、必要な範囲からスモールスタートできることも大きなメリットです。

これまでのようにサーバ室全体を対象とした監視システムを導入する場合と比べ、コストを抑えながら電力監視を実現できる可能性があります。

さらに、@EYE上で各ラックの電力や電流の状況を確認できるため、現地での負荷確認作業を削減できるほか、異常の早期発見にもつながります。運用担当者の負荷軽減や運用品質の向上にも期待しています。

加えて、ATBeXが接続されている環境であれば、遠隔地に設置された設備の情報も収集可能になります。これまでサーバ室単位での導入が難しかった環境に対しても、@EYEを活用した監視サービスの提供範囲を広げられる可能性があります。

将来的には、アット東京のデータセンターだけでなく、ATBeXで接続されたさまざまなデータセンターの情報を、@EYE上で統合的に監視できる環境の実現も目指しています。

監視対象を一元化できれば、運用効率の向上やコスト削減、さらには障害対応の迅速化といった効果も期待できます。

今回の実証は、その第一歩になる取り組みだと考えています。

今回の実証を通じて感じたこと

既存のシステムや機器を組み合わせ、新しい価値を生み出す取り組みは非常に面白い一方で、難しさもあります。

今回実装した方式が本当に最適なのかについては、実際の運用を通じて検証していく必要があります。まだまだ改善の余地はありますし、今後どのような発見や成果につながっていくのか、とても楽しみにしています。

また、今回の取り組みは私一人で実現できたものではありません。社内の別チームや関係部署の皆さん、そして明京電機の皆さまとの協力があって初めて実現することができました。

それぞれの知見や経験を持ち寄りながら進められたことは、私自身にとっても大きな学びとなりました。

今後も実証を継続しながら、リモートモニタリングの活用可能性を検証し、お客さまにより価値のあるサービスをお届けできるよう取り組んでいきたいと思います。

この記事を書いた人 @EYEのなかのひと

同じカテゴリーの記事